こんにちは、あべし(@honjituno)です。今日は北欧ミステリ作品のレビューです!マルティン・ベックシリーズ第1作『ロセアンナ』を読みました!
久々の北欧ミステリでした!今回は元祖北欧ミステリな『ロセアンナ』のレビューを書いていこうと思います!
▼マルティン・ベックシリーズ順番紹介エントリはこちら!
マルティン・ベックシリーズ第1作『ロセアンナ』を読みましたよー!
今回紹介する『ロセアンナ』は、あの人気北欧ミステリ『ミレニアム』と同じスウェーデンの作品です。
『マルティン・ベックシリーズ??ロセアンナ(・・?』となってしまっている方もいるかもしれません。そういう方は、『笑う警官』のシリーズといえばピンとくる方もいるかと思います。
本来なら笑う警官から入った方が良かったのかもしれませんが、シリーズ順では4作目なんです。途中から入るのはなんとなく気持ち悪かったので、順番通り第1作から読んでみました笑。
ロセアンナが発表されたのは1965年で、その後世界的ベストセラーとなるマルティン・ベックシリーズの第1作。まずはあらすじから紹介していきます!
ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。
身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。
「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。ロセアンナ・マッグロー、27歳。
この知らせをきっかけに、刑事マルティン・ベックは、ロセアンナと関係をもった男達についての証言を探ってゆくが―。警察小説の金字塔シリーズ・第一作。
マルティン・ベックシリーズについて
もう少しだけマルティン・ベックシリーズについてのお話を、訳者あとがきから引用しつつ紹介していきますね٩( ''ω'' )و
作者のマイ・シューヴァルとペール・ヴァールーは、第1作『ロセアンナ』の1965年の発表から、シリーズ全10作品を10年間かけて毎年1作ずつ書き綴っていきました。
発表当時、警察小説の金字塔としてベストセラー、超人気シリーズとなったわけですが、それから40年以上がたちなかなか手に入りにくい状況になっていました…。
そんな時、スウェーデンでマルティン・ベックシリーズの新装版が10冊がどどーんと発売されたそうです( ゚Д゚)!!ちなみにこれが2012年のこと。
そしてこのことがきっかけとなり、訳者の柳沢由美子さんに翻訳のお話が来たそうです。
元々は日本語にも翻訳されされていましたが、それは『スウェーデン語→英語→日本語』の翻訳。そして、今回は『スウェーデン語→日本語』の直の翻訳(*´▽`*)!
原書と日本語の間に他の言語が入ってくると、たまに『ん??』と思うような訳になってしまうことがあるそうです。詳しいところは分かりませんが、細かなニュアンスなどはやはり直接訳した方が伝わるのかなと思います。つまり、新訳は期待大です!
新装版の出版や、もちろん昨今の北欧ミステリブームが追い風になったことは間違いないと思いますが、それらのおかげで『元祖北欧ミステリの人気シリーズ』が新訳版で読めるということになったということですね!
北欧ミステリ特有のどよーんとした雰囲気…
さて、今回のロセアンナです!本作を通じて、よく聞く北欧ミステリ特有のどよーんとした雰囲気が漂っています。
華やかな探偵が出てくるわけでもなく、奇想天外なトリックが待ち受けているわけでもありません。
物語はある女性の遺体が発見されるところから幕を上げます。最近アガサ・クリスティーを読むことが多かったので、普通以上に物語のスピード感を感じてしまいました笑。
作品冒頭でいきなり事件が起こったので、捜査がどんどん進んでいくと思いきや被害者の身元特定が出来ずいきなり苦戦してしまいます(;´Д`)!!
思わぬ苦戦を強いられてしまうのが、このシリーズの主人公マルティン・ベックです。
面白いのが、主人公だけどスーパーヒーローという設定ではなく、どこにでもいそうな普通の刑事で、しかも体弱いキャラ。いつも胃の不調を抱えていて、プライベートでも奥さんと上手くいってなさそうな雰囲気…_(:3 」∠)_
本格ではなく社会派
警察ものですし、事件を通じて謎も用意されていますが、本格ミステリ小説ではなく、社会派ミステリに分類される作品だと思いました。
別に作品をdisるわけではありませんが、話の構成自体はとてもシンプルです笑。
ただ、真相がわかった時には、なんとも言えない嫌な気持ちになりました(;´Д`)。悲惨な事件をニュースで知った時の感覚に似ていました。
どちらかというと、ごりごりのミステリ!!ということではなく、人があまり見たがらない、当時の社会が抱えていた暗い部分にスポットを当ててみたという感じでしょうか。
これは50年以上前に書かれたものですが、こういった事件は今でもありそうな気がして、とてもリアルに感じてしまいました(もちろん状況や設定は違うと思うけど)。
当時読んだ人はもちろんこの感覚がストレートに来ただろうし、こういうスタイルのものがそれまでのミステリ小説にはあまりなかったので、徐々に人気を集めていったのかなと予想してみます。
当時のスウェーデンの様子がリアル!
さて!もう一つの読みどころとしては、作中の1964年のスウェーデンの様子がリアルに描写されているところです!スウェーデン自体に興味あるという人は、読んでいてかなりワクワクするポイントだと思います(*´▽`*)。
当時の街の様子はもちろん、訳者あとがきにも書かれているようにクリスマスについての描写もあります。探偵役の刑事が普通の人であるように、人々の生活というのもリアルに描きたかったのかなと思いました。
まとめ
マルティン・ベックシリーズ第1作『ロセアンナ』を読んだのでレビューを書いてみました!元祖北欧ミステリ人気シリーズの第1作目を無事に読み終えることが出来て、感慨深いものがありました。
昔の作品だからといって、内容まで古くなってしまっているということはありませんでした。また、当時のスウェーデンの様子も分かり、読んでいて楽しかったです!
このシリーズとは別ですが、この後1990年代にヘニングマンケルの『ヴァランダー警部シリーズ』が登場します(こちらも柳沢由美子さん訳( ゚Д゚)!)。こうして脈々と受け継がれていくわけですね。
マルティン・ベックシリーズはまだ新訳版の翻訳の途中ですので、北欧ミステリブーム到来前夜の人気シリーズも少しずつ読み進めていきたいです!最近暑くなってきたので、涼しい気分になりたい方はぜひ読んでみて下さい!それではー!