フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』の内容が気になる!でもネタバレは嫌なのでさらっとしたレビューを読みたい!とお考えの方。こんにちは、あべし(@honjituno)です。
今日はシーラッハ作品の読書レビュー記事!
フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』を読んでみました!
フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』 #読了
— あべし📚ブックチューバー (@honjituno) 2019年7月21日
刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て書き上げた11編からなる短編集📚❗️
普通の人だったのに犯罪に手を染めてしまう。その過程が淡々と、とても静かに語られます…🍎
怖さの中にも最後はほっこりする作品があったのが救いでした😭✨ pic.twitter.com/tFRezxvPWv
普通の人が犯罪者に…。その様子がたんたんと語られる、その静かさが怖かった…。
今回も物語のあらすじやおすすめポイントを紹介しつつ、ネタバレなしでレビュー記事を書こうと思います!
※YouTube動画でも紹介しています!合わせてどうぞ!
【フェルディナント・フォン・シーラッハ】『犯罪』をネタバレなしで紹介します!【書評】
【書評】フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』を読んでみたのでネタバレなしでレビュー!
今回はフェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』を読んでみました!
というわけで、買ってきたシーラッハの「犯罪」を読むのら!
— ayadoara (@ayadoara) 2012年3月4日
シンプルな語りですが刺激強めの短編集!物語の真相などネタバレなしでレビューします!まずはいつも通り内容紹介をしていきます!
『犯罪』あらすじ紹介!
一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。
エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。
弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。
2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作!
2012年本屋大賞【翻訳小説部門】第1位!
フェルディナント・フォン・シーラッハ。一度聞いたらなかなか忘れることのできないインパクトのある名前ですね。
おそらくあまり耳馴染みのない名前かと思いますが、現代ドイツミステリーで注目すべき作家の一人です!
今回紹介する『犯罪』は長編作品ではなく、11編からなる短編集。収録作品は以下の通り!
- フェーナー氏
- タナタ氏の茶碗
- チェロ
- ハリネズミ
- 幸運
- サマータイム
- 正当防衛
- 緑
- 棘
- 愛情
- エチオピアの男
本作はドイツでベストセラーとなり30か国以上で翻訳され、日本でも2012年本屋大賞『翻訳小説部門』で第1位に輝きました!
ただいま帰宅。シーラッハ『犯罪』本屋大賞翻訳小説部門受賞、感謝です。実行委員会、そして全国の書店の皆様、本当にありがとう。これを機にドイツ文学が注目されますように。そして翻訳小説全体も。今日は翻訳者のみなさん全員の代表のつもりで受賞にのぞみました。
— Shinichi Sakayori (@vergiss_nie) 2012年4月10日
翻訳者・酒寄進一さんの受賞後のツイートです!カッコいい…!
著者は刑事事件弁護士!
著者シーラッハはなんと刑事事件弁護士!
本の紹介文でも『弁護士の著者が現実の事件に材を得て』と書かれている通り、現実の出来事をモデルに書き上げた作品となっています!
今月いままで読んだなかで傑出して面白かったのは、シーラッハ『犯罪』。作者は現役の刑事事件弁護士で、本書収録の短篇はすべて実際の事件に材をとっている。そういうと「社会派?」とか思うかもしれないが、ぜんぜん違う。筆致の冷たさが素晴らしい。 (続く
— 牧眞司(shinji maki) (@ShindyMonkey) 2011年7月13日
弁護士なのでバリバリの法廷ミステリー…ということでもありません。
どの話も実話っぽいのですが実話ではないそうです。でもフィクションとノンフィクションの境界線は、一読したかぎり全く分かりませんでした。
そして、本作のタイトルやここまで紹介してきた雰囲気で予想できると思いますが、本作の特徴を一言で表すと『重たい』です…。
グロテスクな描写が登場する話や衝撃を受ける話がとにかく多く、途中休みながら読み進めました。
『どうしてこんな短編集を誕生させてしまったんだ…!』と良い意味で苦しみつつな読書が続いていたのですが、最後の話『エチオピアの男』に辿りついた時、救われた気持ちになりました。
シーラッハのデビュー作「犯罪」は、ごく普通の人が犯してしまう罪の物語を集めた1冊。人の愚かさや罪深さを描きながら、最後の「エチオピアの男」で…書けるのはここまで。これから読む方、絶対に最後のこの話まで読んでください!コンシェルジュのお願いです。
— 梅田 蔦屋書店 (@umetsuta) 2019年6月13日
#梅蔦世界文学 #東京創元社 pic.twitter.com/FJMixRSDi3
最後まで読んで良かった!個人的には『ハリネズミ』と『エリオピアの男』が好みでした…!
ただの人が犯罪者へと変わっていく…
あらすじでも紹介されている通り、本作ではただの人が犯罪者へと変わっていく様子が描かれています。
11編の短編集で1話目の『フェーナー氏』からいきなり衝撃を受けてしまいました。
普通の人が犯罪者へと変わる。
ではどのように犯罪を犯してしまうのか。その人物の過去、現在、人格、行動、心理など、犯罪へと至る過程がたんたんと描写されています。
普段読むミステリー作品は、意外な動機や犯人、誰も見破れないようなトリックが登場し、事件の真相が気になり一気読みというパターンが多いです。
まるで映画を見ているような感覚になるような作品もあり、良い意味で物語に賑やかさがあります。
しかしこの『犯罪』ではシーラッハ独特の文体のせいなのか、どの短編もとても静かな印象を受けました。
怖いけど、面白い。
そしてフィクションと分かっていながらもとてつもないリアルさを感じました。
犯罪に至る道にはミステリーの犯人の生い立ちのような劇的なストーリーは必要ない。実際に事件が起こる時ってこんな感じなのではないかと考えさせられます。
おそらく多くの刑事事件にかかわってきた著者の経験が存分に盛り込まれている結果なのでしょう。
文庫版の『序』に書かれている通り『私たちは生涯、薄氷の上で踊っているのです』ということが、どの話でも説得力を持って語られています。
犯罪者も元をたどれば普通の人だという事実を思い知らされました…。
シーラッハの本はどれもハズレがないので、みんなも読むといいよ。犯罪者とふつうの人間には差がなく、かれらはただの一市民だったのに、ほんの薄い紙を一枚越えてしまい、犯罪者と呼ばれる。だが、かれらは罪を犯す前もあとも、ただの一市民である。おれたちとなんら変わることもない…。
— 大野木寛 (@dadasiko) 2017年2月7日
犯罪は誰もが犯す可能性がある。普通も特別もない。みんな『ただの人』だった…。
まとめ
フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』をネタバレなしでレビューしてみました!
本屋大賞1位【翻訳部門】に輝いたドイツミステリ。11編からなるこの短編集では、普通の人が犯罪者へと変わっていく様子が淡々と物語られていました。
怖いけど読むのを止めることが出来ません!ぜひ最後の『エチオピアの男』まで読んでみて下さい!
本作以外にも翻訳作品がありますので、(少し休憩期間を設けてから)チャレンジしてみようと思います!
翻訳済みのシーラッハ作品を出版順にまとめています!合わせてどうぞ!それではー!