こんにちは、あべし(@honjituno)です。
今日はおすすめミステリー小説のレビュー記事です!
西村京太郎『殺しの双曲線』を読んでみました!
『殺しの双曲線』西村京太郎
— ダヴィデりょう (@geizyutuman) 2019年2月4日
トラベルミステリーでお馴染みの作者ですが、本作は初期に発売された本格ミステリー。
差出人不明の招待状、東北の山荘に集まる6人、雪に囲まれ孤立する。
どう?ワックワクじゃない?
これね、まだ読んでないの🤫
次の次くらいに読むんだ!☺️✨
〜本の紹介〜でした! pic.twitter.com/nOYQeKPIaV
メイントリックは…双子を利用!?西村京太郎がクリスティ『そして誰もいなくなった』に挑んだ、初期作品の本格ミステリー!
東北にある山荘『観雪荘』に招待された六名の男女。
深い雪によって閉ざされた山荘で、招待客の一人が首吊り死体となり発見される。
その部屋の壁には『かくて第一の復習が行われた』と書かれた一枚のカードが画鋲で止められていた。
一方、都内では双子であることを利用した連続強盗事件が発生。
犯人は双子のどちらかと分かっているのに、警察は逮捕することが出来ずにいた。
山荘では外と連絡も取れず、脱出不可能な状況の中で一人、また一人と犠牲者が増えていく…。
それはまるで有名な推理小説、アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』のようだった…。
今回もおすすめポイントを紹介しつつ、ネタバレなしでレビュー記事を書こうと思います!
【書評】西村京太郎『殺しの双曲線』を読んでみた!【冒頭でメイントリックをネタバレ!?】
今回は西村京太郎『殺しの双曲線』を読んでみました!
まずはいつも通り内容紹介をしていきます!
『殺しの双曲線』概要紹介!
差出人不祥の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。
そして、そこで巻き起こる連続殺人。クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー。西村京太郎初期作品中、屈指の名作。
という感じのストーリーだよ!
1971年発表!西村京太郎初期作品の本格ミステリー!
今回紹介するのは西村京太郎『殺しの双曲線』です。
西村京太郎さんといえば十津川警部シリーズをはじめとする鉄道ミステリーで有名ですが、本作は初期に書かれた本格ミステリー!
実は1971年に発表されています!正直、登場人物の言葉遣いには違和感を感じてしまいましたが笑、初期作品の中でも名作と呼ばれとても評価の高い作品なのです!
西村京太郎はトラベルミステリという看板が大き過ぎて、初期のド本格やシビアな社会派の名作が忘れられるのは実にもったいない。『四つの終止符』『殺しの双曲線』『おれたちはブルースしか歌わない』なんてあたりは、すごいですよ。クイーンやメグレ、ポワロが出てくる『名探偵なんか怖くない』も。
— 大矢博子 (@ohyeah1101) 2014年11月3日
大量の著書に埋もれて見過ごしてしまいそうですが、初期にはお宝作品がたくさんあるのです!
メイントリックは双子を利用!?
本作での最大の特徴は作品冒頭に書かれている『読者への挑戦状』です!
この記事でも冒頭さらっと『メイントリックは双子』と紹介していますが、決してネタバレではありません!
なぜなら著者が読者に対して公平を期すために、冒頭で教えてくれているからです。
この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。
何故、前もってトリックを明らかにしておくのかというと、昔から、推理小説にはタブーに似たものがあり、例えば、ノックス(イギリスの作家)の『探偵小説十戒』の十番目に、『双生児を使った替え玉トリックは、予め読者に知らせておかなければ、アンフェアである』と書いてあるからです。(p.6)
ここで登場するノックスの十戒の話は著者の創作ではなく、ノックスも十戒も実在しているもの。探偵小説を書く際のルールのようなものです。
この但し書きがそのまま読者への挑戦状となっていて、読者はこの事実を頭の片隅に置きながら読み進めていくことになります。
読了 『殺しの双曲線』 西村京太郎
— ざき@読書 (@jasper_boch92r) 2017年8月25日
最初のページに、こんなことが記されている。
「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」
双生児を巧みに利用し警察を欺く犯人の周到さ、さらにはこの計画の完成度が輝いている殺人劇。あなたはこの真相を見抜けますか? pic.twitter.com/DF75D78PRn
ここまで書かれているのにいつも通り真相は分からずじまいでした…!
『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品!
あらすじにも書かれている通り、本作はアガサ・クリスティーのあの有名作『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品になっています。
国内ミステリで『そして~』のオマージュといえば、綾辻行人さん『十角館の殺人』が有名ですが、その他にもたくさんのオマージュ作品が発表されています!
本作も絶海の孤島ではないものの、吹雪の山荘が舞台のクローズド・サークル。
山荘に招かれた客が一人、また一人といなくなっていく(本作で一つずつなくなるアイテムは、インディアン人形ではなくボーリングのピン)など、『そして誰もいなくなった』を下敷きにした超王道の本格ミステリーに仕上がっています!
そんなわけで、本作を読む前に必ずクリスティーの『そして~』を読んでおいてください!
ストーリーが似ているからということではなく、作中で原作の真相が盛大にネタバレされています笑。
ネタバレ関係ないという方も、本作をより楽しむためにも読んでおかれることをおすすめします!
てことで「そして誰もいなくなった」オマージュ作品で日本人の作品では1,2を争うぐらい有名(?)な西村京太郎『殺しの双曲線』読み終わりました。綾辻行人さんの『十角館の殺人』もどえらいおもろかったし、どっちが上とかは言えない。
— マチュピッチュ (@mabo_by_kddi) 2016年7月17日
西村京太郎『新装版 殺しの双曲線』読了。
— 宮 (@godzillaemon) 2017年2月7日
クリスティの『そして誰もいなくなった』へのオマージュ的作品という情報を得て読んでみたのだが、これ、もう本家超えてないか……
今まで考えたこともなかったが、自分が読んだミステリの中で一番恐ろしい犯人を選ぶなら、迷わずこの作品の犯人である。
『そして~』のオマージュを探し求めているなら必読だし、本格ミステリー好きならぜひ一度読んでおきたい作品です!
まとめ
西村京太郎『殺しの双曲線』をレビューしてみました!
アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』に挑んだ西村京太郎初期作品の名作です!
作品冒頭には『メイントリックは双子を利用したもの』を堂々と書かれた読者への挑戦状付き、物語の舞台はクローズド・サークルと化した吹雪の山荘という超王道本格ミステリー。
1970年代の作品ですが新装版が出版されていますので、ミステリーが好きな方はぜひ一度手に取ってみて下さい!
アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品についてまとめています!ぜひ合わせてチェックしてみてください!それではー!