あべろぐぷらす

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【書評】青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読んでみた!【昔話とミステリーが融合した傑作短編集!】

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こんにちは、あべし(@honjituno)です。

今回は少し変わったミステリー小説のレビュー記事!

 

青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読んでみました!

誰もが知っている昔話がミステリーになって帰ってきた…!?一話ずつ概要を紹介していくよ!

今回も物語のあらすじやおすすめポイントを紹介しつつ、ネタバレなしでレビュー記事を書こうと思います!

 

※Youtube動画でも紹介しています!合わせてどうぞ!


【一寸法師がヤバすぎる!】青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』をネタバレなしで紹介!【書評】

【書評】青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読んでみた!【昔話とミステリーが融合した傑作短編集!】

今回は青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読んでみました!

 

いつも通りまずあらすじを紹介していきます٩( ''ω'' )و!

鬼退治。桃太郎って…えっ、そうなの?

 

大きくなあれ。一寸法師が…ヤバすぎる!

 

ここ掘れワンワン埋まっているのは…ええ!?

 

昔ばなし×ミステリ。読めば必ず誰かに話したくなる、驚き連続の作品集!

今回のレビュー記事は先日新刊紹介記事で紹介した『むかしむかしあるところに、死体がありました。』です!

 

いきなりですが、今回の読書で今年一番おすすめしたい一冊に出会ってしまったかもしれません…!

 

本作は『ミステリーと昔話が融合』した少し変わったミステリー小説です!

 

誰もが知っている一寸法師、花咲じいさん、鶴の恩返しなどの昔話がミステリーにリニューアルされています。

 

『昔話にミステリーを融合してリニューアルってどういうこと…?』と思われる方もいるかもしれませんね。

 

簡単に言ってしまうと昔話の中で殺人事件(!)が起きます!

 

有名な昔話の中にミステリー小説でよく見かける密室殺人、ダイイングメッセージ、クローズドサークルなどが物語にちりばめられているのです!

Twitter上では作家さんたちの感想ツイートもちらほら! 表紙も素敵だし、何といっても読みやすい!文字通り一気読みでした…。

ネタバレになってしまうので詳細は語れませんが、その昔話に関連したアイテムが実は本格ミステリ的に重要な役割を果たしていたり(!)と、遊び心満載でありつつミステリとしての完成度も非常に高いです!

 

今までミステリーを散々読んできた人も楽しめるし、逆にミステリーあまり読まないよという方にこそ読んでみてほしい一冊だと思います!

収録短編は5作品!

本作は5作からなる短編集!収録されているのは以下の5作品です!

  1. 一寸法師の不在証明
  2. 花咲か死者伝言
  3. つるの倒叙がえし
  4. 密室龍宮城
  5. 絶海の鬼ヶ島

物語のベースになっているのはどれも有名な昔話だよ!それでは1作品ずつ概要を紹介していきます!

一寸法師の不在証明

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物語は一寸法師からスタート!

 

お姫様を守るため一寸法師が鬼と戦い打ち出の小槌をゲット!打ち出の小槌のおかげで一寸法師は無事大きくなることができました。

 

めでたしめでたし…とはならないのがこの本の特徴!

 

なんと!一寸法師が鬼と戦っていたのと時を同じくして密室殺人事件が発生していたのです!

 

殺人現場の状況からなんと一寸法師が事件の容疑者にされてしまいますが、その時刻は『鬼と戦い鬼の腹の中にいた』という鉄壁のアリバイがありました!

 

しかし捜査を進めていくにつれて一寸法師の心に秘められたある計画が明らかになっていく…!?

花咲か死者伝言

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続いては花咲かじいさん!

 

『枯れ木に花を咲かせましょう!』灰を撒いて花を咲かせ殿様から褒美をもらったのに、それを寄付してしまう心優しいおじいさん。

 

そんな優しいおじいさんなのに、ある朝丘の上で死体となって発見されます。

 

おじいさんの側には血のついた石がころがり、おじいさんの手には『ぺんぺん草』が握られていた。

 

ぺんぺん草はダイイング・メッセージなのか…!?

 

そうだとしたら一体どんな意味が込められているのか…!?

つるの倒叙がえし

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つるの恩返しではなく、つるの倒叙がえし

 

倒叙とは最初から犯人が分かっているミステリーのこと。

 

今回のお話ではお話の冒頭で、弥兵衛が借金の取り立てにきた庄屋さんを殺してしまいます。

 

庄屋の死体を慌てて襖の奥へと隠すが、そんな時におつうという女が『宿に困っているので泊めてほしい』と訪ねてきました。

 

宿のお礼に高く売れるという反物を織る。その代わり反物を織っている間は部屋をのぞいてはいけない…。

 

おつうの正体はもちろん鶴。おつうの織った反物は本当に高く売れ、それを知った弥兵衛はもう1枚織ってくれと頼む。

 

断れないおつう。弥兵衛の要求は徐々にエスカレートしていった…。

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密室龍宮城

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浜辺でいじめられていた亀を助け、浦島太郎は亀と共に海の中へ。

 

浦島を待っていたのは竜宮城という海の楽園!乙姫様とそこに住む魚たちとで楽しく大宴会!

 

素敵なおもてなしを受けた浦島太郎…ここまでは昔話通り。

 

しかしその竜宮城でなんと殺人事件が発生してしまいます!

 

被害者は伊勢海老のおいせ。部屋には内側から閂がかけられ、唯一ある窓もサンゴが邪魔して出入りすることは不可能。

 

おいせが発見された現場は完全な密室だったのです…。

 

竜宮城の者たちに探偵役を依頼された浦島太郎は犯人を推理していくが…。

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絶海の鬼ヶ島

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最後はみんな大好きももたろうの登場です。タイトルは『絶海の鬼ヶ島』。

 

ぼくたちが知っているももたろうのお話と大きく異なるのは、鬼視点でストーリー展開されるところ。

 

よって、ももたろうが鬼ヶ島に鬼退治に行くのではなく、ももたろうが鬼ヶ島に私たち(鬼)を殺しにやってきた!となります。

 

残念ながら数匹の鬼を残し鬼ヶ島の鬼は全滅。

 

本作の物語はももたろう上陸後の鬼ヶ島のお話です。

 

その後鬼たちはみんな仲良く暮らしているはずでしたが、そんな時に殺人(殺鬼?)事件が発生

 

犯人が分からず誰もが疑心暗鬼に陥っていく中、一人また一人と犠牲者が増えてきます。

 

ミステリー好きな方ならここらへんで『絶海…島…!?もしかして…!!!』とお気づきになるハズ!

 

タイトルからも想像できてしまう通り、本作はクローズドサークルと化した鬼ヶ島が舞台になっていたのです。

 

特にアガサ・クリスティーのあの代表作(!)を読んでいるような…。

ネタバレになってしまうので今回はここまでにしておきます!気になる方はぜひ手に取ってみて下さい!

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 まとめ

青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』を読んでみました!

 

昔話とミステリーが融合した傑作短編集です!

 

誰もが知っている昔話がベースになっているのでとても読みやすく、普段ミステリーをあまり読まないよという方こそおすすめしたい一冊でした!

密室やダイイングメッセージなど本格ミステリーの要素が物語の中にたくさんちりばめられています!本作が気に入ったらぜひその他のミステリー作品にも手を伸ばしてみて下さいね!それではー!